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社会とつながる学びを、仲間と共に探究するために選んだ進学先。「人のためなら頑張れる」私を発見できた、創造コースでの学び

生徒の世界を広げ、深め、創造へとつなげる追手門学院高校独自の「創造コース」。プロジェクトの学びを中心に、生徒たちは自分の世界を最大限に表現し、創造に挑む3年間を過ごします。

2022年4月、当時新設コースに入学した1期生が、2025年3月、卒業します。ひときわユニークな学校生活を送ってきた創造コース生たちは、どんな進路を選んでいるのでしょうか?

今回は、卒業を目前に控える高校3年生、小林 日向子(こばやしひなこ)さんにお話を聞きました!

進学先の決め手は実践的な学びと、教授との距離感

ーー小林さんの進学先について教えてください。

私は、神戸市にある甲南大学のマネジメント創造学部に進学することを決めました。この学部では、実社会につながるプロジェクトに取り組むことを中心に、自学と実践を行ったり来たりしながら学べるのが特徴の学部です。

ここを選んだ理由は、生徒主体のフィールドワークが中心となっていることや、実践的な学びが多いこと、そして教授や講師の方との距離が近い点が、創造コースととても似ていると感じたからです。

大学のことは知っていましたが、この学部を知ったのは、担任の草太さん(髙木先生)が紹介してくれたのがきっかけです。紹介されたときに直感的に「良さそう!」と思ったんです。

ーーマネジメント創造学部のどのような点が、進路決定の決め手となりましたか?

紹介された後、大学の体験プログラムに参加したのですが、グループワークがメインで授業が進んでいく点や、先輩たちがフランクに話しかけてくれる柔らかい雰囲気がとても魅力的に感じて。普段の私なら初対面の人に対して苦手意識を感じることが多いのですが、そのときは友達のように話ができて、この大学なら安心して学べそうだと感じたことが決め手となりました。

入試の際に改めて「この学部の良いところはどこですか?」と質問したのですが、「少人数でのグループワーク形式で授業が進むこと」と「先生と生徒の距離が近いこと」という答えが返ってきました。これは私が一番望んでいたことだったので、とてもうれしかったですね。

私自身、好きなことには積極的に取り組める一方で、苦手なことや興味のないことにはつい手が止まってしまう癖があります。創造コースと同じように先生との距離が近い甲南大学の環境であれば、苦手な部分をしっかりと見てもらえて、自分の成長につながるのではないかと期待しています。

ーー大学進学を楽しみにしていることが伝わってきました。他にも楽しみにしていることはありますか?

甲南大学では、無印良品やネスレ、阪急阪神百貨店などの名だたる企業とコラボレーションしたプロジェクトが行われています。こうした企業から直接フィードバックをもらうなど、社会と触れる機会が、創造コースで体験した以上に多い点に魅力を感じました。

私は社会に出てから必要な力を、学生の内に養いたいと考えています。学生気分のまま、急に社会に放り出される状況を思うと怖さを感じるんですよね。社会に出てから必要な力として、プレゼンテーション能力があると思うのですが、創造コースで学ぶことで、その力はすごくついたと思います。

もともと中学生の頃は人前で発表することが苦手でしたが、創造コースでは発表の機会が数多くあり、繰り返し挑戦しているうちに「発表が上手くなったね」と言われることも増えてきたんです。大学でも、さらに社会とつながる学びを通じて、自分のできることを増やして、可能性を広げていけたらと思っています。

良いことをしたら絶対に恩がかえってくる

ーー創造コースの学びが、小林さんにとても強く影響しているのですね。どのような点が特に成長したと思いますか?

創造コースで一番良かったことは、グループでプロジェクトを進めるという学びのスタイルです。私は一人で作業を進めるのが苦手で、あまり好きではありません。でも、グループでワイワイ取り組むと、苦手なことでも楽しく感じられるんです。

例えば、私が卒業プロジェクトで作った英語を使った長編動画を制作したときのこと。20分程度の映像作品を作りたかったのですが、到底1人ではできないので、まず席の近かった3人を制作メンバーとして誘いました。

さらに、他の同級生や先生たちにも出演や協力をお願いしました。半年以上にわたる壮大なプロジェクトでしたが、誰かと一緒に取り組むことで手を抜かずに頑張れる自分がいて、高校生活を通じて「成長したね」と言ってもらえるようになりました。

こうした経験が、グループワーク中心で学べるという大学を選んだ理由です。

ーー誰かと一緒にプロジェクトに取り組むということは、いろいろな人を巻き込むということですよね。協力者を募るとき、何か意識したことはありますか?

日常的に、人に悪い印象を持たれないようにすることですね。高校に入ってからは、めんどくさいと感じることも、「良いことをしたら絶対に恩がかえってくる」というマインドで行動するようになりました。人に優しく接していれば、皆、協力してくれると思っています。

例えば、友人に誕生日プレゼントを渡したら、自分もプレゼントしてもらえるような、些細なことです。自分から先にすることで、皆から「この前してくれたから」と返ってくる。そういうことの積み重ねだと思います。

もしかすると、「人のためにしか動けない」のかもしれません。卒業プロジェクトで映画を作ったときも、「おもしろかった」「ありがとう」という言葉をもらうことで、自分の中が満たされる感覚がありました。

創造コースの3年間で、一人での作業を避けることがうまくなってしまった部分はあるかもしれません。でも一方で、人は他人の力を借りずに生きられるのか?というのも率直な疑問もあります。

だから私は、考えや目指す方向性が合う人を見つけて、自分から声をかけ、一緒に取り組んでいけたら良いなと思いますし、そういう人を見つけられる力や、人との関係性を築くことが大切だなと考えています。

「当たって砕けない」マインドでいざ進め!

ーー小林さんのこれからの目標を教えてください。

私は好きなアニメや漫画を何度も見るのですが、何度見ても新しい発見があるんですね。それと同じような体験を届けるべく、将来は人が気づかなかった新しい視点を提供するような仕事をしてみたいという思いがあります。

一見単純に見えるものでも、その裏側に深い意味や新たな視点がある。そんなことを伝えられたらと思います。

ただ、具体的な目標を、今はあまり決めたくないんですよね。その時々、臨機応変に行動しながら、社会人になる直前まで「こんなこともしたい」「これもやってみたい」と幅を広げていきたい。「これになりたい」と明確に決めるよりも、大まかな方向性を持ちながら引き出しを増やしていけたらと思っています。

そのために、今後はさまざまな人と話をする機会を増やすこと。今の時代、インターネットから役に立つ情報を得ることももちろんできますが、人との触れ合いを大切にしていきたいですね。

人と関わることで物事を達成してきた経験からも、友人や家族、または新たな出会いの中で得られる学びは私を豊かにしてくれると信じているからです。

ーー最後に、創造コースの後輩たちや、これから創造コースで学びたいと考えている後輩たちへメッセージをお願いします。

私が後輩たちに伝えたいのは、伸び伸びと過ごしてほしいということです。そして、「やりたい!」と思ったことがあれば、迷わずすぐに行動してほしいです。

世の中には「しなければ良かった」という後悔より、「しておけば良かった」という後悔の方が多いように思うんです。中学生だった頃の私にこの話をしても響くかどうかは分かりませんが(笑)、実際に行動した方が人生は楽しくなりますし、それがすべて自分の経験になります。どんなことでも損にはならないと思うんです。

私の信念は「当たって砕けない」こと。そういうマインドで生きています。どんなことでも全力で当たれば、後悔することはないと思っています。

そして、後悔していないのなら、それは「砕けた」とは言わないと思うんです。だからこそ、後悔しないためには自分で選ぶことが大事。自分で決めたことに責任を持ち、どんどん挑戦して、ぜひ「当たって砕けない」道を進んでいってほしいです。