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人生をかけて自分を改良していく。創造コースは、さまざまなバックボーンを持つ人たちが興味を伸ばし、刺激し合う場所

創造コースには、どんな先輩たちがいるの?
そんな疑問に答えていく生徒インタビュー!

今回は、創造コース2年生の中條 晴仁(ちゅうじょう はるひと)さんに話を聞きました。


新しいコースに集まる、おもろしい人たち

ーー中條さんが創造コースに入学しようと思った理由を教えてください。

家から通いやすいとか、水泳の授業がないとか、僕にとっていいなと感じる理由はいろいろあるんですけど、一番決め手になったのは、おもしろい人たちが集まりそうなコースだなと思ったことです。

母もたくさん高校を探してくれて、僕も調べていたんですけど、どの高校も同じようなことを言っているなと思うなかで、創造コースの特色が気になりました。探究型や体験型授業にも惹かれましたし、校舎自体がきれいなのも魅力だと思いました。授業時間が2コマ分という点も、過集中傾向があり、一度取り組んだら納得するまでやりたいという特性を持つ僕に合いそうだなと思いました。

できたてほやほやだった創造コースにはどんな人たちが通っているんだろうと先輩たちを見てみると、みんな表情が良かったことも印象に残っています。

最近出合った「芝蘭の室に入るがごとし」という言葉があるんですけど、ここにはおもしろい人たちが集まりそうだと思ったし、そういう人たちが周りにいる環境に身を置きたいと思いました。

ーー自分に合いそうだなと思ったんですね。

僕、小学5年生くらいから学校に行かなくなって、中学生のときは1年に数日ほどしか登校していないんです。いじめがあったわけじゃないし、新しい知識を得たり学ぶことは好きで、勉強は家でもよくしていたし、テストの成績も良かったんです。

じゃあなぜ不登校になったかというと、小5の終わりに足を骨折して、その後、気管支炎や風邪を引いたりすることが重なって、学校に行けない日が続いているうちに、学校に行かないのもアリだなって気づいちゃったからなんです。

アレルギーがあったり、気管がもともと弱いので、食事のことやコロナのことなど、外にいると気の張り方が全然違うんです。勉強は家でもできたこともあり、単純に家の方が安心感があるなって思っていたんです。良いカウンセラーの方との出会いもあって、自分を知ってどうマインドセットしていくか、創造コースの学びと近しいことは、この時期もやっていたように思います。

僕は人と話すことが好きなんですけど、不登校が長くなると、同世代と話す機会が本当に限られてしまうんですね。高校に行かないという選択肢もあったとは思うんですけど、新しい物事に出合って知識を得ることは好きだし、高校に行かないよりも行った方が自分の可能性は広がりそうだなって思ったことが、進学を選んだ理由の一つです。

ーー実際に入学してみてどうでしたか?

やっぱりおもしろい人が多いです。みんないろいろなバックグラウンドを持っているから、行動や思考法が普通と違うんだなって思います。

僕自身、何かに取り組むときの熱量だけは誰にも負けない自信があるんで、全力で取り組むこと、最善を尽くしたと思えるように行動することは、いつも心がけています。

授業はグループワークが多い分、コミュニケーションをするなかでの葛藤もたくさんあります。それぞれがそれぞれの方向を向いているからこそ、考え方に偏りもあるし、ワークをうまく進めようとしても進まない難しさを感じます。

それと同時に、思う通りに進めようとしていた自分に気付いたりもするんです。「高校ってこんな感じなんだ。授業ってこんな感じなんだ」って、ひたすら新しいものに触れながら全力で学んでいる、そんな感じです。

アイデアの幅を広げるために、たくさんのものに触れたい

ーー入学してから、印象に残っているのはどんなことですか?

学内のプロジェクトはどれも印象に残っているんですけど、今一番記憶に残っているのは学外のプロジェクトで、NTTドコモと立命館大学が開催した「起業キャンプ」に参加したときのことです。学校のポスターで知って興味を持って、創造コースの何人かと参加しました。

起業については事前に少し調べてはいたんですけど、初めて聞くような考え方を学んだ後、すぐに初対面の人たちと起業案をアウトプットするというグループワークで、僕なりに頑張ったんですけど、グループとしていい結果を残せたわけではなかったです。ただ、思考処理しきれないまま、学んですぐにアウトプットする経験が印象に残っています。

他にも、同級生が声を掛けてくれて、不登校の子の居場所づくりをやっているフリースクールを手伝っていて、イベント企画をしています。他者貢献という部分もありますが、それ以上に小学生の子たちに向けて何をしたらいいかを考える思考力や企画力など、僕にとって得られることが多いなと思っています。

もともとは周りの人のために自分を犠牲にするようなところがあったから、今はどちらかというと、まず自分の幸せがあって、その上で周りの人の幸せがあったらいいなという考え方に軸足を置いて、ひたすら自分を磨いている感じです。

ーーいろいろな活動に参加しているんですね。

僕が将来やりたいことの1つに、アイデアを売るということがあるんです。

自分が触れていないことは想像もできないと思っていて、たくさんのアイデアの引き出しを持つためには、たくさんのことに触れる必要があると思っています。より良いアイデアを出すために思考の幅を広げたい。

だから、芸術系のワークショップだったり、子ども食堂のボランティアや、ホストファミリーをしてみたり、学外のプロジェクトにも積極的に手を出している感じです。周りにも外のプロジェクトに参加する人は多いので、影響は受けていると思います。

「真反対の両立」って呼んでいるんですけど、例えばこのインタビューを僕にとっていい経験と考えることもできるし、逆に悪い経験と捉えることもできるじゃないですか。両方の考え方を持った上で、0か100かではなくて、そのときの自分のマインドや周囲の状況を見て選択したいと思うんです。

考え方の幅のなかから自分なりに判断して動くことを大事にしていて、そのためにも判断できる材料が必要なので、学校で学べる思考法と学外での体験とどちらも大切にしています。

ーー学外での活動を通して気づいたことはありますか?

視野が広がったと思っていますし、クラスメイトにもそう言われます。創造コースで学ぶリフレクションでもいろんな視点で書けるようになっているし、何かを考えて、その思考したことを材料にまた考えるということが僕は多いんですけど、その循環の質が良くなったように感じています。

また、追手門学院中・高の独自の教科「探究科(総合的な探究の時間)」の授業方針が、「行動してから考える」なんですけど、僕は常に考えてから行動する方なので、少しでも行動してから考える方へ意識を向けることをやってきて、今は初めに考える量を減らせているような気がしています。

自分の可能性をもっと広げていきたい

ーープロジェクト以外にも、いろいろなことに取り組まれているそうですね。

不登校期間に休んでいたバイオリンや合気道を、高校に入ってから再開しました。部活は囲碁将棋部に入っています。それまで囲碁には全然触れたことがなかったんですけど、15級からはじまって今は5級で、6月にはまた大会に出る予定です。

あとは、漢字検定の準1級にチャレンジしていたり、ギリシア語の勉強も個人で続けています。以前創造コースに、海外への留学や移住の際に使えるグローバルな英語技能検定・IELTSの講師の方が来て講義をされたことがあって、そのときに「英語の他におすすめの言語はありますか?」と質問したら、語源を辿って勉強することをすすめられたんです。

ギリシア語は英語やその他の言語の語源だから分かることや、文法の違いや、言語を通して見える文化もあり、単純に単語を覚えるよりもおもしろくて続いています。

僕がどんなことにも挑戦したいと思えるのは、僕自身が自分を信じることを大事にしているし、自分自身の可能性を重要視しているからだと思います。

ーーどんな可能性にも開かれているということですね。中條さんは将来、どんなことをやりたいと考えていますか?

創造コースの授業で「エンジニアリング」というものづくりについて学ぶ授業があるのですが、その授業の中でものの構造や耐久性とデザインやコストとの関係について学んだんですね。

どのような授業かと言うと、2つの机を用意して、その机と机の間を15cm開けて紙を敷きます。その上に重りを載せるんですけど、紙の折り方を工夫して机の間に置くことで耐久性が変わるし、紙をたくさん使えばコストがかかる。使う紙の枚数を少なくすると、今度は耐久性が下がったり見た目が質素になってしまったり。コスト、デザイン、耐久性の観点から考えて、いかにして橋を作るかというワークがあって、それをきっかけに構造や建築について考えるようになりました。

例えば目に入ってくる建物の高さや色味が人の心理状態に与える影響もあるし、建築物が人に無意識に与える影響の大きさを考えるとおもしろいなって。

今は、大学で建築造形デザインを学んでみたいなと思っています。でも、建築士になりたいと思っているわけでもなくて、建築士をやりながら、バイオリンを弾いて、数学して、漢字もやって、けん玉もできる、みたいな謎の人になっているかもしれない。

僕自身人生をかけて自分を改良していくんだろうなと思っていて、アイデアの幅を広げるのは自分を改良する一つの手段なので、建築やデザインを学ぶのも、アイデアの幅を広げるためだと思っています。