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YES ANDのプラスの精神があるから、34人集まっても、対立が起きない。創造コースは、今までの好きや得意が覆されることの連続

創造コースには、どんな先輩たちがいるの?

そんな疑問に答えていく生徒インタビュー!
今回は、創造コース1年生の藤森ひよりさんに話を聞きました!


人と話す機会がこれまでの100倍に

ーー追手門学院の創造コースを知ったきっかけを教えてください。

私立高校に進学したいと考えていたので、ネットで高校のパンフレットを片っ端から検索していると「あなたの価値観、持ち寄りませんか?」という追手門のキャッチフレーズに目を奪われました。実は中学までフリースクールに通っていて、学校に通えていなかったんです。だから普通科の公立高校に進学して、前を向いて勉強するイメージが湧きませんでした。

そのような中、創造コースの、ただ知識を詰め込むのではない、学びの本質を探究するような授業スタイルが、私のニーズを全部満たしてくれると感じ、自分に合っていると思いました。私はもともと、好奇心が強く学校のカリキュラムだけでは物足りなく感じてしまうので、創造コースの環境はピッタリでした。

ーー実際に体験授業に行ってみて、イメージ通りでしたか?

小学4年生のゴールデンウィーク明けから学校に通えなくなってしまったので、本当に通えるかがまず不安でした。体験会では、不安が勝つのか、それとも行きたい気持ちが勝つのか確かめるつもりで参加しました。授業の内容もおもしろかったのですが、何より学校の雰囲気がよくて。

例えば体験会では、参加者がチームに分かれてワークをするのですが、グループにファシリテーターの先輩がついてくれました。ファシリテーターの先輩や、その他の先輩方がとても気さくに話しかけてくださり、その雰囲気にとても安心しました。

また、私たちが話したことを、何でもオープンに受け止めてくれることがうれしかったです。体験会に参加した結果、途中で学校に行けなくなったらどうしようという不安よりも、行きたい気持ちが勝り、創造コースの受験を決めました。

話を聞いた 藤森ひよりさん

ーー入学してみて、どんなことを感じていますか?

いい意味でどんどん自分が分からなくなっている感覚があります。その要因として上げられるのは、人と話す機会がこれまでの100倍くらいに増えたからです。授業の中では、先生の話を聞くことはもちろん、クラスメイトとたくさん対話をします。日々の雑談だけではなく、考査期間中などにあるプロジェクトを遂行するためにも、どんどん話し合いをします。

入学前は自己理解が深まり、「自分ってこんな人だったんだ」と発見のある日々を想像していました。しかしいろいろなものや人、考えに触れることで、今まで好きだったものや得意だったことが、「本当にそうなのかな?」と不安に思ったり覆されることの連続でした。

いろいろな経験を重ねていくうちに、その不安も今は少しずつ取り払われ、自己理解が深まって視野が広くなった感覚が生まれ始めてきています。

探究の授業が、一番好き

ーー今まで受けた中で、特に好きな授業はありますか?

生物の授業で自律神経などの体内環境や仕組みについて学びました。そこから生まれた「健康志向を高めるCMを作ろう!」という学期末の試験の代わりのプロジェクトが楽しかったです。

私のチーム(4人で1チーム)では子どもの抱えるストレスに対する親の対応をテーマに、保護者向けのCMを作成しました。ただ作るだけではなく、どうしたら伝わるのかを考えて、映画泥棒のCMのパロディとしてコミカルに伝えつつ、でも重要なことはしっかりと内容に盛り込むことなどを意識しました。そのアウトプットがすごくおもしろかったです。

小さい頃から人体について学ぶことが好きで、よく人体の仕組み図鑑を眺めていました。だから授業で好きなことをとことん探究して深めて広げていけることが楽しかったのかもしれないです。

ーーご自身の経験も含めて探究のおもしろさを感じているのがいいですね。

普通の授業って、理科だったら生物、数学だったら方程式を学ぶなど、体系化された知識を学ぶと思うんですが、探究の授業はそれがなく毎回内容が変わります。音楽を作ることもあれば、写真を撮ってきてみんなで鑑賞して思ったことを共有し合うこともあります。

内容も毎回おもしろいんですが、「なんで先生はこのテーマを持ってきたのだろう?」とか、裏事情みたいなものを考えながら取り組むのがまたおもしろいんです。昨年の10月くらいに、授業でクラスのプロフィールを使って人間ビンゴをやりました。先生は自分の持っている得意なことや好きなことを周囲に知ってもらう機会を作りたかったのではないかと、勝手に考察していました。

そういった先生の意図を考えていると、自然と今のクラスの状況に気づくことがあります。知識とは全く別のところが見えてくるんです。また、終わったときには自分のことを深く知ることができた満足感があり、探究の授業が一番好きですね。

ーー入学してから今まででどんなことを感じていますか?

友達とみんなでお弁当を食べている時間とか、体育の時間にみんなで急いで体育館に行く、そういった何気ない日常を、将来ふと思い出すんだろうなと思います。元々通信制の高校に行こうと考えていて、学校に実際に通うことも迷っていたのでなおさらですよね。今はみんなで学んだり、一緒に過ごすことが楽しいです。

みんながいるから個人を生かせる

ーーみんなで学ぶ価値を、藤森さんなりに言葉にするとどのような表現になりますか?

自分1人では出てこないアイデアが出てきたり、チームで協力する楽しさを感じてます。チームで取り組むことで、自分の得意なものや自分の特徴が前より理解が深まる気がします。

創造コースの生徒はみんな一人ひとり何かしらの個性を持っています。だから30人が集まると、何かしら動いていく。1人も好きだけど、みんながいるから個人を生かせる。だからみんなで学ぶことが好きです。

あと、いいことなのか分かりませんが、30人集まっても対立があまり起きないんです。みんな「YES AND」なんです。「私はこうしたい」があったら、人の意見に「それもいいね!」「私はこう思うんだけどどう?」のようにプラスで案を出し合うようにしてます。だから揉めないしみんな仲良く進めています。先生が「対立してもいいよ」と言ってくれるので、逆に対立しないように意識している感じがしますね(笑)。

ーー創造コースに入学し、自分の中で変化したと思うことを教えてください。

人に心を許せるようになった、許せる範囲が広がったと感じています。

「ひよりって、〇〇だよね」と言ってくれる子が周りにいてくれることが大きいです。わざわざ言ってくれるということは、私の特徴に対して「悪い」と捉えていないということだと思うので、素でいられます。自分を出してもいいんだという安心感があり、うれしいです。クラスの中でそういう友達がいてくれるだけで、「大丈夫」だと思えて許せる範囲が広がりました。

ーー最後にこれから挑戦してみたいことを教えてください。

日常の経験をより楽しむことができるように、知識をつけていきたいと思っています。創造コースは基本的に「まずやってみよう!」というスタンスです。なので、とりあえずやってみてから考えることが多いのですが、知識を持っているのといないのとでは学ぶ深さや濃さが全然違ってくるんです。

例えば地理のプロジェクトで取り上げられた、「とある神社でお賽銭を入れるときに鳴らす鈴がなぜ3つあるのか?」という問いの答えが、実は日本の『古事記』に由来していることを授業で学びました。授業で学ぶ前に古事記を自分で興味があって調べたことがあったので、何も知らないで読んだ古事記と、あらすじを知ってから読んだ古事記とでは、全く印象が違うことに気づいたんです。

知識があった方が、つながりを感じることができてよりおもしろいと感じることができます。特に歴史や宗教、哲学といった人の思想や考え方に興味があるので、もっと学んでいきたいと思っています。