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マレーシアへの大学進学は、自然と辿り着いた道!?異国の人との出会いと、創造コースの多様な学びが導いた海外留学の道

生徒の世界を広げ、深め、創造へとつなげる追手門学院高校独自の「創造コース」。プロジェクトの学びを中心に、生徒たちは自分の世界を最大限に表現し、創造に挑む3年間を過ごします。

2022年4月、当時新設コースに入学した1期生が、2025年3月、卒業します。ひときわユニークな学校生活を送ってきた創造コース生たちは、どんな進路を選んでいるのでしょうか?

今回は、卒業を目前に控える高校3年生、内田 陽斗(うちだ はると)さんに話を聞きました!

国際的な環境に身を置くため、海外進学へ

——内田さんの卒業後の進路について教えていただけますか。

僕は、マレーシアにあるAsia Pacific University(アジアパシフィック大学)への進学が決まっています。この大学は、学生の約半数が世界130カ国から集まる留学生で構成されていて、マレーシアの中でもNo. 1留学生で溢れている大学です。

僕は実際に高校3年生の夏休みにマレーシアを訪れて、この大学を見学。日本にも留学生が多い大学はありますが、国際的な環境に身を置きたくてマレーシアに進学することにしました。

僕が進学するのは、「ツーリズム・マネジメント学部」というところ。ツーリズム・マネジメントとは、観光資源を最大限に活用して、地域の発展や持続可能な観光を実現するための戦略的な管理手法のことです。僕はこの大学で学ぶことで、卒業する頃には英語がペラペラになって、将来は国同士を観光でつなぐような仕事がしたいと考えています。

——観光について学ぼうと思ったのはなぜですか?

高校2年生の春休みに、カンボジアに1週間のインターンに行ったことがきっかけです。僕は野球部に所属していて、部活にどっぷりだったため、2年生になるまでインターンに出かけるという経験そのものが初めてでした。

カンボジアでのインターンでは、日本食を現地で広めるため、参加者がチームに分かれて販売を行うミッションに挑みました。僕たちの担当は「生麩」でした。実は、このインターンがなければ生麩の存在を知ることもなかったと思います(笑)。

色鮮やかで見た目がきれいな生麩をデコレーションとして使い、現地の人に興味を持ってもらえるよう工夫しながら活動しました。

——いつ頃から海外に興味を持ち始めたのでしょうか?

創造コースではポーランドやアメリカ、インドネシアなどから留学生が来て、学校内で英語を話す機会が多かったことで、英語がどんどん好きになりました。

また学校のプログラムで「京都で外国の方と一緒に町を散策しよう!」という企画に参加もしたときに、思ったよりも外国の方とたくさん喋れて友達もできたんです。

この企画に参加したことも、海外に興味を持つきっかけになりました。

テストがないからこそ身についた、計画的に学ぶ力

——海外の大学に進学するという進路を、入学当初思い描いていましたか?

入学当初の自分からしたら、驚くべき進路選択だと思います(笑)。でも今の自分にとってみたら、必然的な選択のようにも感じていて。

もともと人と違うことがしたいと思って創造コースに入学したんですね。それで、学内や学外の取り組みに関わる中で、海外の大学に進学するという選択肢が、自然に浮かんできたんです。

だから、海外進学が特別で、めちゃくちゃ勇気のいる選択という感じではなかった気がします。

——海外の大学がどんな入試だったのか、気になります。

マレーシアに限らずどこの国でも共通しているのですが、海外の大学にはいわゆる入試がありません。学力試験がないことが多く、学校の成績と英語の成績証明書があれば進学が可能です。

特にマレーシアの大学は、海外の中でも比較的入りやすいと言われています。

英語の成績としては、IELTS(アイエルツ)のスコアが必要です。IELTSは、英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を評価する国際的な試験で、海外留学や進学、就労に利用されます。

僕が進学する学部ではスコア4が求められていて、これは英検2級程度のレベルに相当します。僕は4.5を取得してギリギリ合格でした(笑)。

——入試のために、どのような勉強をしてきましたか?

IELTSは受験費用が高いこともあり、1発勝負でした。

それまでには、とにかく単語をマスターするため勉強しました。IETLSの試験は英検と違って、マークシートの選択式ではなく、自分で実際の文字を書いたり入力する形式です。なんとなく「これかな?」と勘で答えられないんです。

だから、リスニング問題も、何度も音声を聞いて暗唱したり、聞こえてきた音声を正しく書き取るという学習もしました。

——定期テストがないのが創造コースの特徴だったと思うのですが、教科の知識が問われる試験を受けるにあたって、苦労したことはありますか?

やっぱりテストがないっていうことは、デメリットもあったかなと思います。どんなところがデメリットかと言うと、勉強量が下がってしまうこと。

中学校までは、テスト前になると塾にこもって勉強をしていましたが、高校ではテストがないのでそのリズムが一変しましたね。でもそれは裏を返せば、自分で計画を立てて学んでいく能力がつくというメリットがあると思うんです。

3年間の学びは、絶対生きてくる。だから安心して楽しんで!

——勉強量が減ったと話してくれましたが、勉強量が減ったから暇になったというわけではなさそうですよね。

そうですね。勉強に割く時間は減りましたが、社会で役立つスキルを得るための経験に、時間を費やすことが多くなりました。だから創造コースは、普通に一般で大学入試を受けようと思ったら、もしかして不利な部分があるんじゃないかと思いました。

でも、例えば大学に入学した後に、そこで学ぶアカデミックな分野をどのように社会につなげていくのか?というところを考えられることが増えると思うのですが、そのスキルは創造コースだからこそ得られたものだと思っています。

——印象的な授業はありますか?

創造コースでは、本当に多種多様な学びに触れることができます。中でも印象に残っているのは、英語の授業でアメリカのブロードウェイミュージカル「RENT」に出てくる合唱曲「Seasons of Love」をクラス全員で歌ったことです。

最初は「英語の授業なのに歌うの?これって音楽の授業じゃないの?」と思いましたが、創造コースではただ歌って終わりではありません。振り返りを通して、「学びにはこんな形もあるんだ」「英語で歌って表現することも学びの一つなんだ」と気付くことができました。

——これから入学する方や、後輩たちも同じような不安を抱えている方に、創造コースのことを伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?

まず、現役の創造コース生へ。僕は、この3年間で学んだことや体験、出会った人たちすべてが、自分を大きく成長させてくれたと思っています。クラスメートや周囲の環境からたくさんの刺激を受けて、自発的に行動していこうと思うようになりました。

このコースで得られる経験は、必ずいつかどこかで役立つと信じています。だから、「この学びって本当に意味があるのかな?」と迷うことがあっても心配しなくて大丈夫!気楽に楽しみながら、自分のペースで頑張ってほしいです。

そして、これから入学する方たちへ。創造コースには「定期テストがない」「テストの代わりにプロジェクトに取り組む」といった独特な特徴があります。そのため、不安を感じるのは当然かもしれません。

でも、人と違うことをするということは、少数派になるということ。そして、少数派であることには大きな価値があると僕は思っています。

「ちょっと人とは違うことをやりたい」「新しい挑戦がしたい」「自分のやりたいことに挑みたい」。そんな気持ちを持っている人には、このコースでの挑戦が必ず刺激的で価値あるものになるはずです!思い切り楽しんで、自分だけの道を切り拓いてください。

——ありがとうございます。内田さん自身が、創造コースの学びに価値を感じていることが伝わってきました。

実際に、僕自身が高校3年間で変わったと思うんです。今までの自分はすごく受け身で、自発的に行動するような人ではありませんでした。それがここまで挑戦するようになれたのは、創造コースのおかげです。

もし今後創造コースに入ってくれる人が増えたら、同じような経験や価値観を持っている人が周りに増えていくってことになるじゃないですか。それはすごくうれしいことなので、ぜひ創造コースで一味違う高校生活を送って欲しいなと思います。