与えられた道を歩く自分から、道をつくる自分へ。創造コースはやりたいことを吐き出せて、受け止めてくれる場所
創造コースには、どんな先輩たちがいるの?
そんな疑問に答えていく生徒インタビュー!
今回は、創造コース2年生の真砂 杏澄華さんに話を聞きました!
無駄なことはない。無駄なことにしない。
ーー真砂さんは、軽音部の部長をしながらドラムをやっているそうですね。
はい。もともとは父の影響で小学生の頃からギターを弾いていたんですけど、追手門学院高校に入るとギターを弾く人が結構多くて。個性が出せないなと思って、逆張り精神で誰もやっていないドラムに変えました。
入学してからの1年間は、やりたい曲をコピーしてばかりで基礎練習をしていなかったんですが、最近やっと地道な基礎練習に励み出して、基礎って大事だなと感じているところです。本来、一つのことを地道にやることは苦手なんですけど、地道な練習を続けた先には、できないことがすんなりできるようになって、とても楽しいと思える瞬間が増えました。
ーー成果が後からついてくるという意味では、「とりあえずやってみる」ことを大事にしている創造コースにおける学びと似ている感じがしますね。
そうかもしれません。プロジェクトが多い創造コースの授業でも、「まずやってみよう」から入りますが、たまに、一つの物事が中途半端なまま次のお題に行ってしまうときもあって。先生も結局深く考えていないのかな、なんて友達と話していたこともありましたが、今はそうじゃないと思っています。
創造コースのプロジェクトというのは、先生から与えられた課題への解を、自分で意欲的に探しに行くという向き合い方が、きっと求められているし、それが自分の成長起点になるのかなと思います。
ドラムの基礎練習もそうですが、「とりあえずやってみよう」の後には何かが絶対についてくるから、無駄なことじゃない。自分で無駄なことにはしない。そんな感覚です。そのためにも、自分から動くことが大事だなと思っています。
ーー真砂さんが追手門学院の創造コースに入ろうと思ったきっかけは何だったのですか?
分かりやすく言えば、最後は受験科目が3教科しかなかったということと、チームワーク入試という入試スタイルで決めた部分が大きいですが、その前段階で、ちゃんと自分で志望校を決めよう、という意思がありました。というのも、高校受験に関しては母から「大学はここに行ってほしいから、高校はここに行くといいよ」と言われていて、私もそのつもりで中3までずっといました。
でもあるとき、それでは自分の意思がないということに気づいて。それだったら、自分でちゃんと行きたい学校を探したいなと思い、一旦母の意見は白紙にして、進路を決めないといけない本当にギリギリの時期に学校のパンフレットをいっぱい見て、校舎が新しくてきれいな追手門学院を見つけました。
創造コースを選んだのは、他とは違う特色がある点に興味を持ったからです。皆がギターをやっているから私はドラムに行ったのと同じように、皆が勉強している中、違うことに取り組んで新しい発見ができたらおもしろそうだなと思って。他の人と違う方がいいなという思いで決めました。
道がなければ進めなかった自分が、自ら道を作りにいくようになった
ーーやはり創造コースの体験会に参加してみて、興味関心が高まった感じでしたか?
実は体験会はそんなにピンとこなかったというか、むしろ体験会に行ってちょっと不安になりました(笑)。体験会ではレゴを渡されて、チーム4人で自分たちだけの木を作るというお題に取り組み、最後は発表してリフレクションを書いて終わりました。
当時は自分の意欲がさほど高くなかったからか、「こんなことしてどうなるんだろう?」と思ってしまって...。確かに、リフレクションを書いて、自分が思ったことを言語化するのはとても大事なことだな、という気づきはあったんですけど、その先に何があるのかな、と考えちゃって。1期生でもあるから、進路も不安でした。体験会だけじゃ分からないところがあったから、逆に入ってみてよかったなと思っています。
ーープロジェクト型の学習は、大学入試やテストに向かう勉強とは違って、ここまでやっておけばいいという範囲がない。学ぶことを自分で見つける側面が色濃いですよね。
そうですね。進路については「不安やな」という話を友達と結構するんですけど、中には勉強した方がいいと言う人もいて。でも、私はそうじゃないなと思っていて。自分でプロジェクトの出口のさらに先を見つけることで、自分自身が成長する。人前でプレゼンするときもそうだなと思います。
ただ、入学当初は、本当に何も決められていなさすぎて戸惑いました。ずっと他人に道を決められてきて、そこに生きやすさを感じてきた自分にとっては、創造コースに入った瞬間は、道が多すぎて、というか、道がないから自分で作らないといけないような状態で、「え、え、進めへん」ってなって(笑)。
すごく不安だったんですけど、2年生になって、道の作り方がどんどん分かってきた感じがしています。自分はずっと道がないと進めないタイプだと思っていたけれど、今ではその思い込みも少し変わってきました。
ーー敷かれたレールを歩いてきたのが、今度はレールを作りにいこうとするようになったのは、真砂さんの中でとても大きな変化だったでしょうね。それを実感した瞬間はありますか?
以前、プロジェクトで京都散策をしたときのことです。先生から「崇仁(すうじん)地区に行ってフィールドワークをして、15時半までに帰ってきてね」と軽い感じで言われて、「これは何を目的としているんだろう?」と思いました。ただ単に京都に行かせて、フィールドワークをさせたいだけなのかなと思っていたんですが、崇仁地区に行くことの意味を、自分の中でもう一段考えてみたんです。ちょうどそのときのプロジェクトテーマが、善悪について考えるというものでした。すると、崇仁地区はかつて「被差別部落」と呼ばれた地域だったということを知って。
昔の話ですが、外国人が食べ物に毒を混入したというデマが流れて、日本人が、疑われた人々を排除してしまったということがあったそうです。昔の日本人からしたら、それがデマだということが分からないから、疑わしいものは排除することが善だと思ってやっていたわけですが、一方で排除される側からすれば、毒を混入した噂は真実ではないので、排除する側が悪になる。そんな風に視点を変えて見てみると、その事象は善でもあるし悪でもある、というのが自分の中で見出した答えでした。
もしかしたら、そのフィールドワークは善悪を考えるプロジェクトとは関係がなかったかもしれません。でも、例えそう先生に言われたとしても、自分でプロジェクトのテーマと結びつけて、自分で自分なりの答えを見出せたというのは、自分の中で学びを深められたことの一歩だから大事だなと思えました。考えて、言語化して、成長につなげる。そのやり方が身についてきたように感じます。
創造コースから起業する人が出てきたら、皆で協力したい
ーー創造コースで好きな授業はなんですか?
今、言語文化の授業で源氏物語をやっていて、それが楽しいです。源氏物語はもともと好きで、よく知っている作品が授業に出てくること自体がおもしろいし、授業内容にも工夫があって。今の時代に活躍している俳優の中から、源氏物語の登場人物のキャスティングをする、ということをしています。
光源氏は誰で、頭中将は誰で、紫の上は誰がいい、という話を、有村架純とか吉沢亮といった名前を挙げながらチームで配役に挑戦しています。古典を、実在する人につなげるというやり方におもしろさを感じています。
ーー考査がないという意味では、ただインプットしてテストで理解度を測るような授業ではないというユニークさが、創造コースの特徴ですよね。
そうですね。ただ座って先生の説明をバーっと耳に入れて、テストでアウトプットする普通の授業とは違って、前に出てプレゼンをする機会も多いので、その度に自分の足りないところに気づけて、次はこうやって直そうという形で成長していけます。
また、リフレクションで自分が思っていたことを言語化するときも、自分はこんなことを考えていたんだって、「おおっ」と驚くことがあります。まだ大きな「おお!」はなくて、小さな枝を生やしていっているような感じではあるけれど、思っていることを言えるという環境があることが、ありがたいなと思います。
ーー今後やってみたいことや、こんなことができたらいいなと思うことはありますか?
創造コースでは前に出る機会をすごく与えてくれるから、もっとうまく人前に出る練習をして、うまく進路につなげていけたらいいなと思います。あとは、大人になって、もし創造コースで3年間一緒にやってきた仲間から起業する人が出てきたら、皆で起業に協力するようなことができたらおもしろそうだなとも思っています。
というのも、創造コースのメンバーは、人の価値観をちゃんと自分の中でも理解できる人が多いんです。答えが違っても、自分が思ったことをバンバン言えるのは創造コース生らしいなと思うし、チームで協力してできることが増えている実感もあるので、将来何かの役に立ちそうだなと思っていて。
「世界に出たいから、協力してほしい」と言われたら、皆良いエネルギーで力になってくれそうな気がします。
ーー本当の意味で、仲間になれる関係性があるのですね。最後に、真砂さんにとって創造コースはどんな場所なのか、教えてください。
自分で楽しむ力がある創造コース生は、授業が終わってもすぐに帰宅せずに、部活があるわけでもないのに学校に残っている人が多いんです。そんな光景を見ると、ここは自分がやりたいことを安心して吐き出せる場所であり、また、そんな自分たちをしっかり受け止めてくれる居心地がいい場所でもあるんじゃないかなと思います。